楽園の炎
「ああ、こんなに酷い怪我を・・・・・・。お式までに、治るでしょうか。何か、隠せるようなアクセサリーを選びましょう」
朱夏の腕に巻かれた布に視線を落とし、皇后は腕輪の類を捜した。
そして、ふと顔を上げる。
「彼(か)の者は、きつく罰します故、朱夏姫様は安心して、お式のことだけ考えればよろしいのよ。女子にとっては、特別な日ですもの。忌まわしいことは忘れて、楽しいことだけお考えなさい。でないと、お肌に出てしまいますよ」
ふわりと頬を撫でられ、朱夏は固まった。
セドナや桂枝とも違う、母親というのは、こういうものを言うのだろうか。
自分より明らかに上の立場の、年配の女性から、こんなに優しくされたことがないため、戸惑ってしまう。
「そうだぞ。何、結婚したら、あいつのことなんざ思い出しもしないぐらい、俺のことしか考えられなくしてやる」
後ろから抱きつかれ、朱夏は小さく飛び上がる。
と同時に、夕星の言葉に、顔から火が出る。
「もおぉっ!! 何言ってるのよっ! 時と場合を考えてって、何回言わすの!」
夕星の腕の中で、朱夏は遠慮無く暴れた。
束の間笑いながら朱夏が振り上げる拳を避けていた夕星だが、ふと真顔になると、懐から例の書状を取り出した。
「義母(はは)上。朱夏の父上より、書簡が届きました。今回のこと、炎駒殿の耳にも入っています」
まぁ、と顔色を変え、皇后は夕星から書状を受け取った。
朱夏の腕に巻かれた布に視線を落とし、皇后は腕輪の類を捜した。
そして、ふと顔を上げる。
「彼(か)の者は、きつく罰します故、朱夏姫様は安心して、お式のことだけ考えればよろしいのよ。女子にとっては、特別な日ですもの。忌まわしいことは忘れて、楽しいことだけお考えなさい。でないと、お肌に出てしまいますよ」
ふわりと頬を撫でられ、朱夏は固まった。
セドナや桂枝とも違う、母親というのは、こういうものを言うのだろうか。
自分より明らかに上の立場の、年配の女性から、こんなに優しくされたことがないため、戸惑ってしまう。
「そうだぞ。何、結婚したら、あいつのことなんざ思い出しもしないぐらい、俺のことしか考えられなくしてやる」
後ろから抱きつかれ、朱夏は小さく飛び上がる。
と同時に、夕星の言葉に、顔から火が出る。
「もおぉっ!! 何言ってるのよっ! 時と場合を考えてって、何回言わすの!」
夕星の腕の中で、朱夏は遠慮無く暴れた。
束の間笑いながら朱夏が振り上げる拳を避けていた夕星だが、ふと真顔になると、懐から例の書状を取り出した。
「義母(はは)上。朱夏の父上より、書簡が届きました。今回のこと、炎駒殿の耳にも入っています」
まぁ、と顔色を変え、皇后は夕星から書状を受け取った。