楽園の炎
皇族のお金の稼ぎ方ではない。
でも、こういうところが周りに好感を持たれるのだろう。

「竜、これは俺が個人的に買おう。愛する妻への、贈り物としてな」

軽く言い、夕星はにやりと笑った。
そして、憂杏を呼ぶ。

「これと一緒につけられるように、守り刀の鎖を捜して欲しいんだが。守り刀は式のときに使うから、隠れてしまわないようにつけられるものがいい」

憂杏は朱夏の首にかかる首飾りをじっと見、そうだな、と呟いて少し考えた。

「あら、お兄様は誓いを守り刀に立てることにしましたの?」

憂杏の後ろから、ナスル姫がひょいと口を挟んだ。
そして朱夏に、ふふっと笑いかける。

「お兄様の守り刀は、かつて無いぐらい実用されてるわね。まさに『守り刀』だわ。使わないに越したことはないわよね・・・・・・」

「でも、しっかり朱夏を守ってくれてるからな。この守り刀に誓うのは、宝剣に誓うよりも重みがあるぜ」

そう言って、夕星は、ちょんと朱夏の腰に差さっている、布にくるまれた守り刀を指でつついた。

「お前の宝剣は、もう憂杏に渡したのか?」

夕星の言葉に、ナスル姫はちょっと頬を膨らませた。

「わたくしはもう、ククルカンに来る前に、憂杏に渡そうとしたんですけど。憂杏が、受け取ってくれないの」

「いや、まだ正式な許しも得てないしな。あんまり勝手に進めても、なぁ」

何となく視線を彷徨わせながら、憂杏はぼりぼりと頭を掻いた。
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