【短】同窓会―episode 3―
「…お客様。
本当に数は合っていますか?」
店員が困ったようにレジを打ちながら聞いた。
「あ、合ってます!」
そう言ってお札を出す。
流石に買いすぎたとは思ったけど、今さら返品するわけにもいかない。
カゴに山積みにされたチョコレートを袋に詰め込んで、少しため息をつく。
元気がないときはチョコレート。
ってよく聞いた事あったから買ったのに、水城先生食べきれるのかな。
自分がチョコレート食べれないから、どれくらい買えばいいかわからなかったんだ。
そんなことを思いながら、重たいビニール袋を持って家に向かう。
きっと、水城先生、明日は元気ないから。
だから買っただけ。
別に、バレンタインじゃないし、変に思われないよね。
ふと、顔をあげると見覚えのある後ろ姿。
「…水城先生?」
条件反射で、その後ろ姿に声を掛けた。
振り向いたのは、私服姿の水城先生。
「……嶋津先生。」
そう言って、今までとは違う笑顔をみせた。
柔らかくて、優しい笑顔。