【短】同窓会―episode 3―
「どうしたんですか、そんな荷物持って。」
そう言って私の荷物を持とうとする。
少し手が触れた。
「あ…これは、駄目!」
水城先生にあげるはずのチョコレートを持たせるわけにはいかない。
つい動揺して袋を離してしまった。
散らばるチョコレート。
「あーあ…やっちゃった。」
慌ててチョコレートを拾う。
恥ずかしくて、水城先生を見る事は出来なかった。
「こんなにたくさん、食べるんですか?」
水城先生は驚いたような声でそう言った。
食べるわけないでしょ。
恥ずかしくてなにを言ったか自分でもわからない。
でも、ムキになって水城先生を見たとき、本当に楽しそうに笑っていたのはわかった。
秋山先輩とは違った笑顔。
今まで見た事のなかった、本当の笑顔。
水城先生の笑顔。
…水城先生は、秋山先輩じゃなくて。
水城先生は、水城先生だ。
はっきり自覚した。
私は……
水城先生が、
好きなんだ。