独身マン
「お、2人の結婚式には祝辞するからな!」


「ちょっと課長~。 気が早すぎぃ」



由美は首をかしげた。 またいつものぶりっ子口調に戻っている。 するとあかねが叫んだ。



「あ~あ! いいもんねー。 結婚なんかー! 男と適当にいればいいのよ」



あかねは酔っている。 一杯しか飲んでいないのに。



だらんと肩を落とし、美紀子にもたれかかった。 可南子はそれを見て共感する。



「わかるわ~。 めずらしく気が合うじゃない。 もう結婚なんてこりごりよ」


「やっぱー?! 何が結婚よ。 何が大人よ~!!」


「ハイハイ。 わかったわかった」



しがみつくあかねの頭を、美紀子はポンポン優しく叩いた。 すると課長があかねに言う。



「なんならオレと付き合うか?」



彼は相変わらずオヤジだった。 そこで別のオヤジが混じってくる。



「何いっとるんだーお前は」



注意したと思いきや、オヤジはビールを掲げ、だらんと壁にもとれかかるあかねを見た。



「あかねちゃん、オレと付き合えばハワイ連れてったるぞー。 ポンっと費用だしたるでな」


「死んでもいやです」


「そ、そりゃないだろ~」



本気でショックそうだ。 しかし回りは大笑い。



アホなオヤジたちは調子をこいて盛り上がっている。 きっと家では、家族にのけ者にされているかもしれない。
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