独身マン
「オレ、来るもの拒まず、去るもの追わずだし」



少し強がりな感じで得意げに拓也は言った。 あかねはふふふと笑う。



「拓也さんって、本気で人を好きになったことあるの?」


「あかねさんには言われたくないね」



あかねと拓也の間で妙な笑いが飛び交った。 そして拓也は落ち着くため、ウーロン茶を一口飲むと、ぽつりと言葉をこぼした。



「あーあ。 高校生の頃が1番楽しかったな」



するとすかさずさえが



「そんな淋しい事いわないでよ」



一杯だけ飲みたいと思ったアルコールのカシスオレンジ。 彼女の定番だった。 まだ全部飲み干してない、中身の少し入ったグラスを両手で包み込み、レッドオレンジ色を見下ろしながら、ゆらゆらと揺らした。



「あたし、今こうしていることが楽しいのになー」


「そりゃー、アンタは英くんとラブラブだから楽しいでしょうねー?」



それに答えたのは可南子だった。



「そーだけどー!」



さえはなぜか笑って英の足をバンバン叩く。



そんな新年会だった。



正義といえば、ただオヤジたちの話を聞いて笑っていただけ。
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