未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
*プライベートルームへようこそ
結局、一時間あまり滞在してからファミレスを出たあたし達。
「それじゃ、あたしはバス停こっちだから。湊、また明日ね」
「んじゃ俺は駅こっちだから。湊ちゃん、またね」
顔の横で小っちゃく手を振るリカを真似る吉井。
「ちょっとキモい!」
「うるせぇっ」
なんて言い合いながら遠ざかっていく二人と、取り残されたみたいな徒歩組のあたし達。
あ~あ、レポート進んでないよ。期限は今週中だっていうのに。
外へ出たら、急に現実に引き戻されちゃった。
軽く落ち込む。
いや、深く悩むぅ……。
その時、視線を感じて隣を見上げると、辻之内があたしを見おろしていて。
さて、と言って満面の笑顔を向けられた。
当然“さて”の次に言われるのは、帰ろうか、だろうって予想してた。だって寄り道はしてきたし、リカ達も帰ったのだから。
だから、その直後に彼がとった行動に、なんていうかあたしは度肝を抜かれたんだ。