未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「あのコ、大学生のカレシと別れたばっかりなんだって」


不機嫌そうにリカが言った。


「それで、辻之内?」


「らしいよ。王子には入学当時に一度告白したことあるみたいで。その時のリベンジってやつ? っていうか、別れてすぐのくせによくやるよねー」


と鼻息を荒くするリカ。

よっぽど今井さんのことが気にいらないんだなー。


あたしから見ると、よっぽどタフなんだなって思うけど。


だって、辻之内と彼の幼なじみのことは大きな噂になってるから。


それでも、近頃の今井さんの彼に対する猛アピールぶりは、ある意味尊敬しちゃうくらいで。



「ねぇ リカ?」


「ん?」と振り向いたリカは、まだ眉間にシワを寄せている。


「前に吉井が言ってたの覚えてる? 辻之内には忘れられない人がいるって」


「あー、心に天使が住んでるって話でしょ?」


「あの天使って、例の幼なじみのことじゃないかな?」


「あの高級車で送りに来てた?
でもあの人、天使ってイメージじゃなかったよ? どっちかというと、小悪魔的で色気ムンムンな」



確かにリカの言う通り、大人な彼女はちょっとイメージ違く見えるかもしれないけど。


でも辻之内が思うなら、天使なんだよ。

彼にとっては、そうなんだよ。


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