コイビトは
「行ける所まで行って…」


あとは歩く、と言おうとした瞬間、


「あ、そだ! だったら遊ばない? カラオケとか行こうよ」


ラヴィコが言い出した。


「ね、どう? 二人とも」


片付けはじめていた二人に、ラヴィコは声をかけて、二人が顔を合わせてあいまいに答えているのを肯定と取ったのか、


「この近くに安いカラオケあるからさ、ね、どう?」


俺はそれも楽しそうかな、と思った。何より、今行ける駅まで行って、その後(おそらく1時間以上)歩いたら、俺はたぶん、原田さんのことばかり考えてしまう。



それはもちろん真剣に考える事が必要なことなんだけど。









今日は、考えたくなかった。


だから、ラヴィコのこの申し出はありがたかった。
< 75 / 93 >

この作品をシェア

pagetop