コイビトは
「実はね…」


そう言いながら、俺はまだ、言っていいものかと迷っていた。



「今日、同じ基礎ゼミの女の子の誕生日だったんだけど」


しかし、言葉は止めることが出来ずに、俺は続ける。



「…あー、告白されて」



「へえ、おめでとう」



リディルルにそう言われて、俺はその瞬間、とても寂しくなった。


それは確かにただの社交辞令で、その瞬間、リディルルにとって俺っていうのはその程度の存在なんだ、ということに気づいてしまったから。




「…でも、悩んでるってことは、メイワクだったの?」


「迷惑っていうか」



俺は、その子をそんなふうに意識して見ていないし、唐突すぎてどうしていいのかわからない、と答えた。



「それに」
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