コイビトは
俺は、俺が刺された話をしたのは、これがはじめてだった。
それまで、たとえば高校時代の友達は、俺が刺された事件を、たとえ隣のクラスでも、下手したら違う学年でも、とにかくみんな知っていた。
だからそんな奴らは俺を気遣って、ほとんど会話でその話題を出す事はなかった。
事件を知らない人、大学に入ってから知り合った人には、事件のことを、俺は話したことがない。
もちろん俺が思い出したくないからであるのと、話題に出したからと言ってどうなるわけでもないことで、縣も原田さんも、そのことは知らない。
まあ、ニュースになった程の事件であるから、話をすれば、
ああ、あの事件
くらいには思い出してくれるかもしれないが、それはもう3年も前の話であるし、障害も残らずピンピンとしている俺に、そんな話題を出されてもむしろ困るだろう。
しかし、もし話題に出したら、きっとみんな驚くだろうな、くらいは思っていた。
それまで、たとえば高校時代の友達は、俺が刺された事件を、たとえ隣のクラスでも、下手したら違う学年でも、とにかくみんな知っていた。
だからそんな奴らは俺を気遣って、ほとんど会話でその話題を出す事はなかった。
事件を知らない人、大学に入ってから知り合った人には、事件のことを、俺は話したことがない。
もちろん俺が思い出したくないからであるのと、話題に出したからと言ってどうなるわけでもないことで、縣も原田さんも、そのことは知らない。
まあ、ニュースになった程の事件であるから、話をすれば、
ああ、あの事件
くらいには思い出してくれるかもしれないが、それはもう3年も前の話であるし、障害も残らずピンピンとしている俺に、そんな話題を出されてもむしろ困るだろう。
しかし、もし話題に出したら、きっとみんな驚くだろうな、くらいは思っていた。