コイビトは
俺はどちらが好みなんて、無責任に言えるほど


「二人の事、よく知らないし…」


「そんなの、これから知っていけばいいじゃん」


リディルルは呆れたように言った。



その選択肢の中に、君が入っていたら、俺は――



「とりあえずでも、付き合っておけばいいじゃない、いつでも好きなこと出来るよ? 好かれてるんでしょ?」



俺は。



「え」



今、あまりに意外なことを言われた気がして、俺は思わず聞き返した。



「好きなことって…?」




「なに、それ言わせる気?」




リディルルは今度はあからさまに呆れた表情をしていた。

普段あまり表情の変わらない彼女の、表情が変わるところを見て、俺は、少し…和んだ。
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