マスカラぱんだ
**紫乃**
ハンカチも。私も。大事にするって先生は言ってくれた。
凄く嬉しい。
やっぱり先生は、優しくて素敵。
でも、そんな先生があっという間に、お医者様の顔になったのがわかった。
きびきびした態度で私に問い掛ける声は、病院にいた先生を思い出させる。
「傷口と言えば紫乃ちゃん?あれから傷は痛む?」
「いいえ。大丈夫です。葵先生?傷口、見る?」
先生に心配掛けたくないと思った私はただ、傷口を見てもらった方が手っ取り早いと思っただけだったのに。
あれ?何で?