マスカラぱんだ


**紫乃**


ハンカチも。私も。大事にするって先生は言ってくれた。

凄く嬉しい。

やっぱり先生は、優しくて素敵。

でも、そんな先生があっという間に、お医者様の顔になったのがわかった。

きびきびした態度で私に問い掛ける声は、病院にいた先生を思い出させる。


「傷口と言えば紫乃ちゃん?あれから傷は痛む?」

「いいえ。大丈夫です。葵先生?傷口、見る?」


先生に心配掛けたくないと思った私はただ、傷口を見てもらった方が手っ取り早いと思っただけだったのに。

あれ?何で?


< 145 / 258 >

この作品をシェア

pagetop