マスカラぱんだ
「葵先生?私だけが寂しいのかと思っていたの。先生は忙しいから、私のことなんか思い出す暇もないのかもって。」
「僕は毎日紫乃ちゃんのことばかり考えていたよ。こうして紫乃を、抱きしめたくて仕方なかった。」
先生は繋いでいた手を引き寄せると、私を温かく包んでくれた。
ああ。嬉しい。
先生の温もりを、こうして感じられることも。
私だけじゃなくて、先生も寂しいと思ってくれていたことも。
何もかもが、嬉しい。
抱き寄せた腕を緩めた先生は、私の顔を覗き込んで涙を優しく指で拭ってくれる。
私はそんな優しさに、瞳を閉じて甘えた。
「紫乃ちゃん。これからはもう少し会える時間が増えると思うから。」
先生の突然の言葉で、閉じていた瞳を開く。
私の瞳には、優しく微笑む先生の顔が映った。
「本当?もっと葵先生と会えるの?」
「ああ、そうだよ。僕は救急を辞めた。だからこれからはもっと紫乃ちゃんと会う時間を作れるから。」