マスカラぱんだ
「紫乃ちゃん!落ち着いて!違うから!」
僕は泣き声を上げる君の肩を揺らし、何度も言葉を掛ける。
でも、取り乱した君の耳には、なかなか僕の声は届かなかった。
俯きながら必死で僕に向かって、謝り続ける君の姿を見るのは辛い。
なのに、また君の口からこの言葉が飛び出した。
「葵先生。ごめ・・ん・な・・」
お願いだから、もう、謝らないで。もう、涙を流さないで。
その想いだけを胸に、君の唇を強引に奪った。
口を塞いでしまえば、これ以上、謝りの言葉を口にすることは出来ないだろう?
唇を強く熱く重ねれば重ねるほど、君の身体から力が抜けていくのを感じた。
本当ならもっとこの唇を味わいたいところだが、今は君の誤解を解く方が先だ。