マスカラぱんだ


「僕は悲しい涙を流す子供を一人でも多く救いたくて、医者を目指したはずだった。」


それを思い出させてくれたのは、君だ。

きっかけは、君ともっと多くの時間を過ごしたい。

そう思ったことが始まりだったけど、君と出会って、君を好きにならなかったら、僕はもう一度原点に戻ろうとは考えなかったはずだ。

だから僕は、心から君に感謝している。


「紫乃ちゃん。ありがとう。僕はもう一度、始めることが出来る。」

「葵先生?私。何もしていないのに。」

「そんなことない。僕には紫乃ちゃんが必要なんだ。」


訳がわからなくてもいい。

ただ、君は僕の隣に居てくれるだけで構わない。

僕は隣に座っている、愛しい君に腕を伸ばすと力いっぱいこの胸に包みこむ。

いつまでも、僕から離れないで欲しいと願いながら・・・。


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