マスカラぱんだ
「何それ?ちょっと、紫乃!ここって山中総合病院だよね?きっと、碧の父親が院長なんだよ。そして、碧がこの病院の跡取りじゃない!?」
「ねえ、優衣?碧よりも先生が跡取りじゃないの?お兄さんなんだから。」
「そうだよ!跡取りだよ!だからこんな豪華な個室をすぐに用意できるんだよ!」
先生との再会に喜びで胸が一杯になっていた私は、優衣の言葉で気持ちが落ち込む。
この大きな山中総合病院の跡取りだという先生が、なんだか遠い存在の人に思えたから。