マスカラぱんだ
**葵**
結局、今日も忙しかった。
君の様子を見に行く暇もないまま、こんな時間になってしまった。
今は午前0時。
とっくに消灯時間は過ぎてしまっている。
君はもう、眠ってしまっただろうか?
そんなことを考えながら君が移動した特別室に向かい、ドアを静かにノックする。
けれど君からの返事はない。
そうだよな。こんな時間だ。今頃君は夢の国にお出掛け中だ。
眠っている君を起さない様に、そっと特別室のドアを開けて中に入る。
暗がりの中で僕の目に映るのは、ベッドの上の布団が規則正しく上下している様子。
その様子から君が熟睡していることがわかった。
昨日の夜のように、君が痛みを堪え、涙を流していなくて良かったと安堵する。
そっと足音を忍ばせベッドに近付き、君の寝顔を覗き込む。