マスカラぱんだ
**紫乃**
ん?何の音?
微かに耳に届く、小さく唸るような音で目が覚めた。
聞き覚えのある音にハッとなる。
これって、私の携帯のバイブ音?いけない!電源切るのを忘れていた!
サイドテーブルに手を伸ばし、携帯画面を覗き込む。
でも私の携帯はきちんと電源を切っている状態だった。
じゃあ、何の音?
窓から差しこむ月明かりを頼りに、特別室を見回した私の目に飛び込んで来たのは、衝撃的な物体。
「ぎゃびっ!!」
驚きと恐怖に凍り付いた私の喉から、有り得ない叫び声が飛び出す。
だって!人が!人が!ソファに倒れているんだもん!
アレって人だよね?誰?生きているよね?