マスカラぱんだ


**紫乃**


ん?何の音?

微かに耳に届く、小さく唸るような音で目が覚めた。

聞き覚えのある音にハッとなる。

これって、私の携帯のバイブ音?いけない!電源切るのを忘れていた!

サイドテーブルに手を伸ばし、携帯画面を覗き込む。

でも私の携帯はきちんと電源を切っている状態だった。

じゃあ、何の音?

窓から差しこむ月明かりを頼りに、特別室を見回した私の目に飛び込んで来たのは、衝撃的な物体。


「ぎゃびっ!!」


驚きと恐怖に凍り付いた私の喉から、有り得ない叫び声が飛び出す。

だって!人が!人が!ソファに倒れているんだもん!

アレって人だよね?誰?生きているよね?


< 66 / 258 >

この作品をシェア

pagetop