Frist time
俺が落ち込んでいるときに声をかけてくれたのは、励ましてくれたのは、紛れもなく玲菜だった。
玲菜に気持ちをぶつけていて今さら気がついた。
俺の中で玲菜の存在はこんなにも大きくなっていたんだな。
だからこんなにイライラするのか。
「…最低だ」
こんなやつを好きになってしまった自分に苛立つ気持ちと、あいつに対して苛立つ気持ちと両方が複雑に混ざって吐き出された言葉だった。
玲菜に背中を向け帰ろうとした時、
「最低なんてぐらい、分かってるわよ!」
悲痛な泣き叫ぶ声が、冷たい空気の屋上に響いた。