Frist time
「自分でも最低なんて分かってる。
でも…翔にだけは嫌われたくなかったから、そんな風に思われたくなかったから!
だから、だから…」
俺はもう一度玲菜の方を向くと、流れる涙をそのままに、真っ直ぐな眼差しで俺を見ていた。
「…これだけは言わせて。
本当の性格を隠してたのは、悪いって思ってる。
でも、翔に言ったことに何一つ嘘はないから。」
玲菜は俺をしばらく見つめた後、俺の横を駆け足で通り抜けていった。
あのお菓子のような、甘い甘い香りを残して。