Frist time


「翔、お前はそんな弱くねぇだろ!?

なんなんだよ、俺が弱気になってるとき、俺のことあんなに怒ってくれたじゃねぇか!

しっかりしろよ!


…お前がそんなんじゃ、俺は安心して行けねぇよ。」


いつもは温和で滅多に声を張り上げない宏が、俺のために、俺が俺を取り戻すために、必死になって怒ってくれている。


次の瞬間、俺の目から涙が流れ落ちた。


出てこない言葉の代わりに、涙が止めどなく流れてくる。


宏が俺の背中を叩きながら優しく、

「ゆっくり、話せよ」


さっきまでとはうってかわり、諭すように、穏やかに笑った。

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