Frist time


宏が真剣な眼差しを向けて俺の話を聞いているのが、宏の方を見なくても分かる。


宏が俺にしてくれた分まで、きちんと話さなくちゃいけねぇよな。


「あの時は気持ちが沈んでて、なんとなく、屋上に行ってみようとおもったんだ。

一人で屋上の床に寝そべっていたら、いきなりあいつが現れた。


見ず知らずの俺にアドバイスしてくれたりしてさ、なんていい子で、純粋なんだろうって思ったよ。



それから俺が屋上に行く度に、なぜかタイミングよく現れるんだよな。

…知らない内にあいつに癒されてたらしい。
情けないことに、つい最近気づいたけど。


本当は、宏のことを応援するの、最初はちょっと辛かった。
でも、あいつがいたから、助かってたんだよな。」



宏は俺の言葉を聞いてうつ向いた。
きっと俺に悪いと思ってるんだろうな。


でもそれは違げーよ、宏。


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