Frist time


自分の気持ちに正直になるだけで、こんなにも楽になるのかと思った。


今の俺を縛っているものは何もない。
ただ、がむしゃらに玲菜のことを想うだけ。

あいつが俺のことを嫌っていたとしても、そんなの気にしねぇ。


こう思えるようになったのも、すべてが宏のおかげだな。
まじで友達ってのは最高だわ。

こいつが居なくなったら、って考えると、


あれ?そうだ、肝心なことを忘れてた。

「宏!
お前いつここを離れていくんだよ?!」


必死の形相で宏に聞くと、宏は盛大なため息をついた。
そりゃそうだ。
気づくのが遅すぎる。



「やーっと気づいたか。

…年が明けたらここを出るよ。」

悲しそうに、でもしっかりと宏は言い切った。





―――宏の引っ越しまであと1週間と少し。


俺はこいつに何をしてやれるだろう?


< 126 / 154 >

この作品をシェア

pagetop