Frist time
「うわー、やっぱ寒みーな」
上にダウンを羽織ってきたが、やっぱり冬の寒さには敵わない。
マフラーに顔の半分を埋めてもきつい。
二人でカラオケの前の段差に腰かけ、必死に寒さに耐える。
ルームにいた頃のもやもや感はもうすでになくなっていた。
俺は昨日、家に帰ってから考えていたことがあった。
それは、俺が宏に何が出来るかってこと。
考えて考えた末、2つだけ考えついた。
「…なあ、宏。
約束しよーぜ。
俺が宏の引っ越しまでに玲菜に気持ち伝える。
お前は梨華と上手くいく。
どうだ?」
俺がにやっと笑って拳を突き出すと、宏も笑ってトンッと拳を合わせてきた。
交渉成立。
これが俺が考えたことの1つ目。
少しでもいい気持ちでここを去ってほしいからな。
俺らなら出来るだろ。