男装人生



「凛は何したい?」


「・・・帰郷。」


「帰郷⁉」


遊びのお誘いかと思いきや、家に帰るのか・・・
完全寮制度で普通の生徒は学園から出ることもままならないが、Aクラスの成績上位15名とBクラスだけは外出の許可証さえあれば出ることができるのだ。


何気に15位以内に入っている凛ちゃん。


「怜悧も行こう?」


「へッ⁉」


「何、怜悧占領(センリョウ)しようとしてるんだよ~凛太郎~」


いや、まてまてまて。
私はクズ以下の成績だぞ?
行けるはずない。


「凛太郎が望めば付き添いで許可証は発行出来るんだよ。」


「へぇ~」



私達の話声が少し離れた所でクラスメイトと喋っていた架衣斗まで聞こえたようだ。
私の疑問に答えてくれる。


「ま、今回怜悧は頑張ったんだし、行って来ればいいんじゃね?」


なんだか今日の圭也は優男だ。


「誘ってくれる友達いていいよな~外出て~」


架衣斗と喋っていた男子が羨ましそうに見てくる。
短髪に細目の、あれ?
誰だっけ。


「西野。そろそろクラスメイトの名前くらい覚えろよ。」


どうもすみません・・・
小声で教えられ、シュンとなる。
引きこもっていたのと合宿が長かったせいか、クラスメイトの名前が覚えられない。

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