男装人生
涙を完全に拭い去り、モソモソと起き上がる。
「どうしたっ?」
「別になんでもねーよ。」
両手を高く伸ばし、伸びをする。
なんだか身体が軽い。
気分も爽快だし、無意味に楽しい。
ただ、鼻がグスグスで目頭が熱い。
それは泣いたせいだろうけど。
「光は?」
辺りを見回すとすぐに発見した。
玲李のベットに顔を突っ伏し爆睡(バクスイ)していた。
「怜悧が八巳のこと離さないから大変だったんだからな~」
「へっ⁉」
何してんだろ・・・
光に迷惑かけっぱなしだ。
私って熱あると色々やらかすらしい。
・・・恥ずかしい・・・
「みーちゃん、みーちゃんってうなされてるし。・・・み、みーちゃん、死んでねーよな?」
「知らん。」
「な、なんだよっ‼怖いこと言うなよー‼」
道理であんな気分だったんだ・・・
私はあの時の夢を見ていたのか。
最近はめったに見てなかった。
忘れたと思っても、吹っ切れたと思っても、淡い記憶はいとも簡単にフラッシュバックして私を悲しくさせる。
悪い記憶ばかりではないのに、いや、楽しい記憶の方が多いはずなのに、涙が流れるんだ。
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