男装人生


もう昔の話だし、うじうじしてたらいけないんだろうけどな~



"トントン"


部屋をノックする音がする。


「どうぞー」


恭が手提げ袋を持って入ってきた。


「あれ、どうしたんですか?ベットに入って。」



「具合悪くて寝てたんだけど、今起きたら良くなってた。」



「そうでしたか。」


良くなってよかったですねと微笑む。


「れいりさぁ~相当うなされてたんだぜ~?・・・みーちゃんの呪いだなっ‼」


圭也、余計なことを。



「うなされ・・・み、みーちゃん?」


案の定、恭は何とも言えない顔で苦笑い。


「そうだ、みーちゃん。夢の中の登場人物だ‼多分死んでいる‼」


圭也のやつ勝手に殺しやがって。


「そうですか・・・その、みーちゃんは怜悧の夢の中へ出演できるなんて幸せ者ですね。それはそうと、先日母からクッキーが大量に届いたんでおすそ分けにきたのですがいかがですか?」


「食べる―‼」


さらりと話題転換する恭に玲李ものっかった。

「俺も――っ‼」


圭也までのっかってくる。


「・・・仕方がなかったんです・・・」


玲李にも圭也にも聞こえない声でぼそりと呟く。

寂しげな恭の表情に玲李は気づくことはなかった。



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