男装人生



「藍咲 圭也。」


「・・・君があの入学生ね。」


「俺の事知ってんのか?」


「まぁね。」


名前を聞いて明らかに少年のトーンが柔らかくなる。
同情しているのだろうか。


「あんたは?」


「Aクラスの高龍寺 希夜。」


どこでだったかは忘れたが聞いたことがある名前だ。
Aクラスということは頭もいいんだろう。


「Dクラスは大変でしょ。なんで抜け出してきたの?」


Dクラスで何かあったことはお見通しのようだ。
大した理由でもないから、言うべきか悩む。


「言ってみなよ。少しでもスッキリするかもしれないよ。」


希夜の言葉に心揺さぶられる。
ホントは抜け出した理由だけじゃなくて全て話してしまいたかった。


Dクラスの事。
親に勝手に決められて、高龍学園に入学した事。
最近家族にイライラして仕方ない事。

なんも関係のない希夜に話したらすっきりして気持ちが軽くなるんじゃないだろうか。


希夜がさりげなくベンチへ誘導する。


「・・・成り上がりか。相当金を積んだんだろうなって言われた。」


ここで否定的な事を言われたら、もう何も喋らないつもりだった。
けれど希夜から発せられた言葉は予想を上回るものだった。


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