男装人生


「あーうるさいな。俺を探して来いなんて誰も言わないでしょ。自分の成績が悪いからって八つ当たりしないでくれる?・・・ん、あれ?また、サイズの合わない制服を着ているね。見本、見本うるさいけど、自分が1番見本から遠いんじゃない?・・・フフフ」


少年の顔がカーッと赤くなる。
怒りで震えている。
希夜は相当毒舌のようだ。


「こ、これは‼5年前に175㎝になる予定で買ったんだっ‼」


「へぇー・・・君ってバカだよね。」


「なっ!僕は馬鹿じゃないっ!クラスで2番目に頭がいいし!」



「そういう意味じゃないんだけど・・・」


希夜は、身長なんて予測できるものでもないのに5年も前から買っているなんて馬鹿だ、と言いたいんだろう。
にしても中学1年生で175㎝の予定なんて理想が高すぎる。
日本人ではなかなかいないだろう。
普段デカいと言われている俺でさえ170㎝なのだ。
光は少しズレているというかなんというか・・・
まぁ可愛くない部類の天然のようだ。

"明日のお昼休憩、またここにおいでよ"


目の前の少年にうんざりしたのか俺の耳元でそう囁く。
"アイツは八巳 光。君の家を一瞬で潰してしまうほどの財力を持っているから気をつけて"
そう言い残し、走っていった。


いやいやいや。そんな少年を残して去らないでほしかった。
怖いよ。

チラリと八巳を見る。
呆然と立ち尽くしている。


「また置いて行かれた・・・」


悔し気な顔に変わっていく過程が恐ろしい。
多少落ち着いたのか、俺の方に向き面倒くさ気に声をかけてきた。


.
< 377 / 407 >

この作品をシェア

pagetop