執事と共に日常を。
「……寒いわね」


恵理夜は、青年をすり抜け歩き出した。


「来るでしょ」


そして、青年を一瞥し、そう言った。

黒目がちの大きな瞳は、魔術のように青年を捉えたままだ。


青年は、黙ってその後を着いていった。

恵理夜は、橋の柵をひらりと越え、あっという間に土手を下り、車道の方へ降り去った。

相当歩きなれているらしい。
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