モンパルナスで一服を
陽は容赦なく弧を描く。

残酷なことにも、一日とは束の間だ。

男の目に写る夕暮れの空に三羽の鳥が通る。

これから鳥がどこへ向かうのか、沈む太陽の方へと急ぐ三羽を眺めた。

そうだ、既に陽は落ちる準備を整えている。



男の目は、鏡に写る自分を見つめている瞳と同じ。夕陽に照り映える目は潤んでいる。

鳥を見届けると、男はイーゼルと絵を布袋にしまい、住家へ向かった。

真っ暗な部屋が男を待っている。

描くことに希望を見出そうとしている男にとっては惨い話だ。
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