君が、好き…?(短)
異様な雰囲気に飲み込まれそうで、慌てて悠から目を逸らす。
自分の机に置いてあった鞄を引ったくるように掴むと、逆方向に引っ張られた。
「ゆん、」
「私、帰るから」
「ゆーんー」
「離せバカっ」
悠が言い出すことは大体予想できている。だから嫌なんだ、帰りたい。
聞きたくない、絶対。
「侑奈、」
「お前がそうやって呼ぶな」
何でこんなに必死になってるのか自分でもよく分からないけど、とにかくこの場から早く逃げたかった。
少しの沈黙の後、離された鞄。
「……じゃあね、」
未だに見上げてくる悠を無視して踵を翻した。
「侑奈が俺のこと嫌いなのは分かってる、けど、俺は侑奈が好きだから」
自分が矛盾しているのは分かってる。
「だから、逃げずに、ちゃんと考えてよ」
嫌いなはずの悠をフって、友達に戻れないのが嫌だなんて……おかしいよ。
でも嫌だった。
だから告白されるのを避けてた。
なのに、こいつは……。