とある堕天使のモノガタリⅡ ~MIDRASH~



『え…悪戯…!?』


驚くサリエルにアランは微笑んだ。


『彼はとんだ悪ガキだよ』

『俺の中の天使像が崩れかけてる。』

『彼女も苦労するわね…あれじゃ…』

『…彼女?…』


会話の中でシンディがポツリと言った“彼女”と言う単語にサリエルが首を傾げた。


『あら、聞いてないの?クロウには恋人が居るのよ。』

『それは…人間ですか?』

『…ええ、日本人らしいわよ?会った事ないけど。』


“好きな者を守って何が悪い!”


そう言ったウリエルの言葉を思い出す。


だから彼は人間を…


『なるほど。やっとウリエルの言葉が理解出来ました…』


誰かと携帯で談笑している右京の姿を見ながらサリエルは顔を伏せた。


『え?ちょっ…!?どうしたの!?』

『いえ…なんでありません…』


グスンと涙ぐむサリエルにシンディはそっとハンカチを差し出した。


『よくわからないけど…クロウなら大丈夫よ。

だって彼、強いもの!』


シンディはサリエルにそう言うとニッコリと微笑んだ。


『そうですね…私も彼のように強くなれたらいいのに…』

『いいんじゃない?別に。』


そう言うとシンディはサリエルに向き直った。


『クロウのように強くなる必要はないわよ。

あなたにはあなたの“強さ”があるはずだもの!』


そう自分に諭す人間の霊魂は暖かく優しかった。



< 295 / 474 >

この作品をシェア

pagetop