とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
10時を回った頃、虎太郎の邪魔はしたくなかったがさすがの右京もアランの無言の圧力に負けた。
意外とすぐに電話に出た虎太郎に右京は申し訳なさそうに言葉を発した。
『邪魔して悪いな…取り込み中じゃなかったか?』
『なんの心配してんだよ…
大丈夫だよ。アランか?』
『察しがいいな。0時スタートだ。』
事のいきさつを説明すると虎太郎は頷きながら『いい考えがある』と言い出した。
右京は虎太郎の“いい考え”を黙って聞き入った。
『…そりゃいい。』
『だろ?』
『じゃあそれでいこう。
アランには説明しとくから現場待機しといてくれ。』
携帯を切るとアランに“いい考え”を話すと二つ返事でOKが出た。
『クロウはどう接触する?』
その質問に右京は余裕の笑みを浮かべた。
『“夢”でも見てもらうよ。』
そう言っていつものコートを手に取った。
右京との会話を終えた虎太郎は上機嫌で騒ぐリサの元に戻った。
『リサ。抜け出さないか?』
そう耳打ちすると、リサは驚いたように虎太郎を見上げた。
虎太郎はリサの手を引いてうるさい人混みを縫うように出口に向かう。
『…ヒューガ?どーしたの?』
珍しく自分を誘う虎太郎にちょっと期待をしながら聞いた。