とある堕天使のモノガタリⅡ
~MIDRASH~
『掛かったぞ、クロウ!』
『了解。誘導する。』
インカムの声に応えて右京は森の前でポケットに手を入れたままシモンズを待った。
『サリエル。兄の霊魂を狩った場所まで連れて行く。』
『よろしくお願いします…』
そう言うと外套を翻して闇に姿を隠した。
真っ黒な服に身を包んだシモンズが走って来る姿が見えた。
『来たか。こっちだ。』
背を向けた右京を『待って!』とシモンズ呼び止めた。
『あなたは何者なの!?何で兄の事を知ってるの!?』
『知ってるぜ。…何で兄が死んだかもな。』
右京は少し足を浮かせると後ろ向きに森の中を進んだ。
シモンズがちゃんとついて来てる事を確認しながら…
サリエルの気配を辿りながら少し開けた場所まで来ると地に足を着けた。
遅れてそこまで来たシモンズが肩で息をする姿を眺める。
『お前はなぜ俺を狙う?』
『あんたの頭をデュラハンに捧げるのよ!』
『あ~…なるほど。俺の頭か…ククク…』
肩を震わせて笑う右京をシモンズは睨み付けた。
『なっ何がおかしいのよ!』
『…供物として俺の頭を捧げたいのは分かった。
つまり、その為だけに俺を狩ろうというのか。』
『!?』
『やれるもんならやるがいい。』
挑戦的な笑みを浮かべた右京にシモンズは祈るように目を閉じた。
雲行きが怪しくなり、月が隠れて真っ暗になる。
微か蹄の音が聞こえた。