意地悪な君の彼女は大変





ぷはっと空気を求めるように彼女は大きく息を吸い込んだ。



それを視界の隅で捉えながら、背中から抱きしめると男を睨みつけて言い放つ。





「――――俺に勝つ自信があるなら、どうぞ狙ってくれていいですよ?」



と―――…。




目の前で口をパクパクさせて頭を沸騰させているクラスメイト、名前不明な男。




セリフと共に挑戦的な目を寄越すと、ちがう意味で顔を真っ赤にさせて大人しく席に座り込んだ。






怒り、悔しさ、恨み……。あいつの瞳には俺に対するいろんな感情が入り混じっていた。






あー…めんどう…。それもこれも、このバカのせいだ。




とげっそり横を振り向くが、こいつは「なっなにしたのよっ…!!」なんて目くじらを立てる。






< 55 / 65 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop