意地悪な君の彼女は大変
ぷはっと空気を求めるように彼女は大きく息を吸い込んだ。
それを視界の隅で捉えながら、背中から抱きしめると男を睨みつけて言い放つ。
「――――俺に勝つ自信があるなら、どうぞ狙ってくれていいですよ?」
と―――…。
目の前で口をパクパクさせて頭を沸騰させているクラスメイト、名前不明な男。
セリフと共に挑戦的な目を寄越すと、ちがう意味で顔を真っ赤にさせて大人しく席に座り込んだ。
怒り、悔しさ、恨み……。あいつの瞳には俺に対するいろんな感情が入り混じっていた。
あー…めんどう…。それもこれも、このバカのせいだ。
とげっそり横を振り向くが、こいつは「なっなにしたのよっ…!!」なんて目くじらを立てる。