SIGHT
報道されているニュースを見て私は1人テレビの前で考える。

犯罪者になる事が怖くなった?それとも酒を飲んでいて判断がまともでなかった?


出てくる結論はどれも浅はかなものばかりだ。どれだけ真剣になってテレビの画面に見入っても答えを与えてくれるわけではない。

もし私が心理学者であったなら切り口の鋭い理にかなった答えを出していたことだろう。

だが私はそうではない。私は記者だ。

写真を撮ることが仕事であって論理的な思考や柔軟な考えなど私にはないのだ。


普段はあまり使うことのない頭脳を酷使しすぎたためか、持病の偏頭痛が大軍を率いて脳細胞を襲う。

偏頭痛持ちの人には分かると思うがこうなってしまうと何もやる気がおきなくなる。
 いや、頭が痛すぎて何もできないのだ。

苦痛に身を捩じらせる姿は、はたから見れば変質者にしか見えないであろう。仕方ないではないか。頭の中をぐちゃぐちゃに掻き回されていて「はいそうですか」とケロッとしていられる人なんているわけないであろう。

 服を着替えることなく、机に常備してある頭痛薬を飲み、よろよろしながらベッドに潜り込む。


「数分間のニュースを見ただけで偏頭痛がくるとは…」


痛みに耐えながら眠りにつこうと励んでみる。眠れるわけがない。
ただ目を閉じているだけ。しかしそうしていないと気がおかしくなりそうなのだ。

まあ、すぐよくなるであろう。
そう考えると気持ち楽になった気がした。
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