発明王ショート
 なぜ懐中電灯なのかというショートの愚問に、成瀬はあきれてため息をついた。


「田井君の顔を撮るために決まってるでしょ」


 成瀬は宝石の入った箱が見つかった場所の、少し横を指差した。


「このへんにライト付けたまま置いとけば、消されるかもしれないけど、一瞬は顔撮れるでしょ? それに、もしここを掘るなら、灯りが必要だろうし、もしかしたらこれ使って作業してくれるかも」


「おお、なるほど。さすが成瀬さん、頭いいね」


「えへへ、ありがと」


 成瀬が髪を耳にかけながら、微笑んだ。その顔を見て、顔を赤らめるショート。

そこに星野先生が戻ってきた。


「お待たせ。はい、これでいい?」


 星野は成瀬に懐中電灯を手渡した。


「はい! ありがとうございます! 先生、終わったら勝手に帰ってもいいですか?」


「ええ。あんまり暗くならないうちに帰りなさいね」


「はい!」


 返事をきいて、星野は体育館裏から去っていった。

成瀬は星野の姿が見えなくなるのを確認してから、懐中電灯を操作した。


「じゃあこれをスイッチ入れたままここに置いて……よし、帰ろっか」


「え、草むしり、まったくやらなくていいの?」


「いいよ。もう暗くなっちゃったもん。あとはカメラにおまかせだし」


「そっか。じゃあぼくも帰る。ていうか、ほんとに田井が犯人だったらどうしよ」


「驚く」


「いや、そういうことじゃなくて……」
< 17 / 33 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop