発明王ショート
「げ、田井」


「声聞こえたからのぞいたらさー、オマエらが走ってくの見えたからさ、体育館の中突っ切ってきちゃった。……で、オマエら付き合ってるの?」


「え、えと……」
「付き合ってない」


 口ごもるショートとは対照的に、成瀬ははっきりきっぱり否定した。

田井は特に気にする様子も見せず、ショートに話しかけた。


「ふーん、あ、そうだ、AVの名前確認してきたぞ。星野翔子。間違いなく本人だった」


「……田井、そのAVとやらのタイトルってなんだった?」


「ああ、『流星』だったかな。AVらしくないタイトルだよな」


 ふと、ショートの脳裏に、星野の声がよぎった。


『ねえ、知ってる? 流れ星って、いくら手を伸ばしても、つかめないんだよ』


「そっか、そういうことか。ようやく……思い出したよ」


「は? ナニがだよ」


「田井、昨日の指輪、どうやって手に入れたの?」


「だ、だから人からもらったって言っただろ」


「ちがうよ。あの指輪を田井なんかに渡すわけがない」


「なんでそんなこと言い切れんだよ」


「あの指輪は、きっと、星野先生のものだから」


 ショートはじわりと田井に歩み寄って、諭すように問いかけた。


「田井、ほんとのことを言ってほしい。どうして田井がその指輪を持ってるのか」


「…………わかったよ。全部話す」


 田井は真剣な眼差しのショートに根負けして、本当のことを語り始めた。


「オレさ、昨日の朝、ホームルームが始まる前に星野先生を体育館裏に呼び出したんだ」
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