発明王ショート
 ショートはそこでためらい、それでも、最後まで言い切った。


「その指輪はきっと、父さんが星野先生に渡したものだ」


「……」


「当時女優だった先生のセリフ『ねえ、知ってる? 流れ星って、いくら手を伸ばしても、つかめないんだよ』

そしてその言葉に対して男性が『流れ星はつかめないけど、代わりにこれをつかんでくれないかな』

そう言って、指輪をわたす。そのときの指輪が、そのダイヤの指輪だ

そして、その相手役の男性というのが父さんだった」


 頭の良い成瀬でも、突然明かされていく真実に、混乱気味になった。


「どういうこと? 先生が女優で、その相手が眞森君のお父さん? あれ? でも、発明家だったんじゃ……」


「そうだよ。言ったでしょ? お金を稼いで、映画に注ぎ込んでたって」


 ショートの言葉を受けて、星野がその補足をする。


「眞森くんのお父さんは『流星』の出資者だった。言ってたわ、出資者の特権を最大限利用して、出演させてもらったって」


 星野は雨に濡れないよう指輪を握り、その手を額に当て、優しく微笑んだ。


「それで、もっと特権を使って、この指輪を本当にプレゼントしてくれた」


 ショートは星野の様子を、表情を変えることなく、見つめていた。


「そのときはもう母さんも死んでたし、責める気はまったくないけど、お互いに好きだったんですね」


「そうね、愛し合ってた」


 嬉しそうに頷く星野の言葉を聞いて、成瀬の頭には疑問が生じた。


「あれ?」
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