発明王ショート
「あの日はいつもと様子が違った。『別れるならそれでもいい。最後にもう一度、会って欲しい』って、それだけ言って、彼は電話を切った」


 そこまで言うと、ふいに、星野はショートに問いかけた。


「……眞森くん、どうしてあの日、家にいなかったの?」


「え、ぼく?」


 ショートはじっくりと、父が死んだ日のことを思い出す。


「……友だちと映画でも観てこいって父さんに言われて、映画を観にいってた」


「おかしいと思わなかった? どうしてそんなことを言われた日に、家で火事が起きたのか」


「……まさか……」


 ショートは、星野が示唆していることに気付いた。


「父さんは、自分で家に火をつけた?」


「……私には本当のことはわからない。家に着いたときにはもう燃えていて、ちょうど全身に火傷を負った彼が、救急車に乗せられるところだった」


 星野はそのときのことを思い出し、目を細める。


「私が彼のもとに駆け寄ると、彼はゆっくりと目を開けて、驚いたように、ちょっと微笑んだ」
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