[企]*white valentine*
この人は自信があるのか、それとも人を信じているのか。
「……ただの楽天家?」
「失礼しちゃうね!前向きだって言ってくんない?」
蓮さんは墨がついた頬を膨らませて怒ってみせる。
私はおかしくなり、つい声を上げて笑ってしまった。
暖かな日差しも手伝ってか、この人といると空気が和む。
今の私はショーウィンドウに足を止めていた人達と同じ顔、いや、それ以上に柔らかい表情になっていると思う。
「あー……いいねー。今の顔!」
「……へ?」
「菜月ちゃんの今の顔、すげぇ幸せそうで俺まで幸せになったー。ありがと」
お礼を言われても……。
そもそも私をそんな顔にしたのは蓮さんなのに。
熱く火照る頬を抑えながら、私は蓮さんの傍から離れた。