僕らの赤い糸は最初から


「よし、じゃあ渡草に決定だな。」

「「いいでーす。」」


決まってしまった事は仕方がない。

あたしも、もう諦めて、練習に励もう…。

ジュリエットの役はあたしに決定。

皆からの反対もなく、

意外とすんなり決まってしまった。


「よし、役も決まった事だし、
 今日の放課後から練習に入るぞ。」


遥は前よりやる気がでたようで、

自分から前に出て仕切るようになった。

雰囲気も前より明るくなった気がする。

うん、いいことだ♪


「ねぇねぇ!!!
 一層カッコ良くなったね、有坂君!!」


朱莉もそう言って目を輝かせるくらいだし、

いい傾向だと思う。

その代わり、有坂人気率は倍増…

たまにうるさいくらい、黄色い歓声が上がる;;

だが、それと並行して…、


「楓君…?だっけ??
 あの人も人気あるよねぇ♪
 最近モテモテよ-♪♪」


そう、恭ちゃんがモテている。

まぁ、顔はカッコいいのに
暗いイメージがあったからだろう。

前までは見向きもされなかった。

だけど、最近は遥と並ぶ事もあり、

二人はとてつもなく絵になるのだ。


「そ・れ・で!!
 結局、絵里はどっち本命なのよ??」

「はい!!???」


朱莉の発言はいつも唐突だ…。


「だーかーら、
 どっちなのよ、本命はっっ!!??
 まさか……」

「ないない。
 どっちにもそんな気はない。」

断言できる。

恭ちゃんは幼馴染だし、

遥は仲間…だ、とあたしは思ってる。

遥は迷惑としか思ってないみたいだけど。


「何だ…。つまらん。」

「つまらんとはなんだ、つまらんとは。」

全く、あたしには今賞品しか見えてないのだ!!

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