オフィスの甘い罠
押しつけがましい言葉。



そんなこと望んでもない
あたしには、ただの迷惑で
しかない。



迷惑で、うっとおしくて。



ただそれだけのはずなのに――

最後に胸に残る疼きだけは
なぜか少し切なくて、
甘くて――……。




「―――なんで、
あたしなの……?」



気づくと、いつかと全く
同じ問いを口にしてた。



あたしの何が気に入られた
のかわかんない。



でも気に入ったにしたって
どうしてこんなことまで
するのか。


その理由が、知りたかった。



「なんであたしが、
アンタの秘書なの?

あたしを振り回して……

あたしを変えて、
どうしたいのよ……?」



柊弥は少しも目をそらす
ことなくあたしを見つめ
返すけど、問いに対する
答えは返ってこない。
< 116 / 288 >

この作品をシェア

pagetop