オフィスの甘い罠
「まぁ、ありがとうございます!

あなたは幸せ者ねー、紫苑。

こんな時間でも駆けつけて
下さるお客様がいて」



「え、えぇ………」



(幸せ者? きもっ)



ママがご機嫌なのは、
ひとえに思いがけない
金ヅルが最後に飛び込んで
来たからだ。



柊弥はまだ新参者だけど
前回が思いがけず大盤振る
舞いだったから、ママの
見る目も変わっちゃってる。



「お時間は気になさらず、
ごゆっくりお楽しみ下さいね」



柊弥にそうほほ笑んで、
ママはさりげなくあたしの
肩をポンと叩いた。



『しっかりやんのよ』


……そういうイミだ。



(――ったく……サイアク!)



でも最初にママに大ミエ
切ってある手前、最後の
最後でショボい接客とか、
あたし自身もシャクにさわる。



「な? そういうことだ。

まぁとりあえず、水割り
でも入れてくれよ」
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