オフィスの甘い罠
手帳にはペンホルダーが
ついてて、そこには最初
から1本の万年筆がさして
あった。



だからそれを使った方が
いいんだろうと思って、
あたしはいつもそれで
メモや予定を書き込んで
たんだけど……。



(たしかにあれ、ちょっと
書きづらいんだよね。

てゆーか持ちづらいっつーか)



きっとあれは男物だから
だと、今ようやくわかった。



だけどあたしはそれを
柊弥に文句言ったことは
ないし、そんなに不満
そうな顔をしてたつもりもない。


だってホントに、ささいな
違和感程度のことだったから。



(それを―――柊弥が、
気づいてたなんて……)




「明日からそれを使えよ。

多分そのうち、お前の手に
なじむ」



声に顔をあげると、柊弥が
フワリと柔らかい笑顔を
浮かべてた。
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