オフィスの甘い罠
(あたしもそんなふうに
変わってくことが、
あるのかな……)



誰とも関わらず、誰にも
染まらず生きてきたあたしが。



もしかしたら自分でも
気づかないうちに、
少しずつ、少しずつ――…。




「………やめやめっ!

今はこんなこと考えてる
場合じゃないっての!」



あたしはわざと声に出して
言って、頭の中の考えを
追い払うように首を振った。



今のあたしは副社長秘書だ。


外出時間までにやるべき
ことは、他にいくらでもある。



あたしは柊弥の手帳を
出して、ペンホルダーの
ペンを入れ替えた。



今まで使ってたペンは、
立ち上がって柊弥の
デスクに置く。



手帳やそれ以外の資料を
外出用のバッグに移し
終えると、タクシーを
呼ぶため電話に手を伸ばした。
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