オフィスの甘い罠
柊弥が引き止めようとする
のもかまわずに、そのまま
テーブルを離れる。



ボーイや近くのテーブルの
女のコが何事かって顔で
近寄ってくるのが見えた。



だけどあたしはそれを
振り切るようにして通路を
走り出すと、一目散に
化粧室に駆け込んだ。



トントンドアを叩いて
あたしを呼ぶ声にも答えずに……


あたしはしばらくそこで、
声も出さずに涙を流し
続けた――…。





     ☆☆☆☆☆



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