オフィスの甘い罠
あたしの知らないぬくもり。



あたしの知らない愛情。



それに焦がれ輪の中に
混ざりたいと思うのに、
どうしても本当の意味で
彼らと完全に溶け合う
ことはできなくて。



結局あたしは、切なくて
胸が苦しくなるような
思いを抱えたまま、
パーティーを終えた。



……同時に夢も終わって、
気づくとあたしは見慣れた
部屋の天井を眺めてる。



(――イヤな……夢……)



普段、夢なんてそんなに見ない。



こんなにも鮮明でリアルな
夢を見たのは、きっと
かなり久しぶりだ。



(なんでこんな夢、
見ちゃうのよ……)



苦々しい感情が胸を支配してた。



(やっぱりダメだ。

このままじゃ……あたし……)



求めちゃいけない。



憧れちゃいけない。
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